最新獣医公衆衛生

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    内容

    すべての獣医師が業務上知っておくべき最新の知識や考え方を網羅!
    公衆衛生がいま直面している課題について包括的に解説!!

    日本における牛海綿状脳症(BSE)や高病原性鳥インフルエンザの発生、アメリカにおけるウエストナイル熱の大発生、ノロウイルスによる食中毒の大発生、畜産食品における動物用医薬品の残留など、さまざまな問題がクローズアップされるなか、獣医公衆衛生の役割と責任は当然重くなっている。本書は、獣医公衆衛生が直面する課題の現状と対策について、学問として確立されていないトピックスを集め、総論・各論で詳細に解説。人獣共通感染症や人と動物の共生についてなど、小動物臨床家も知っておくべき興味深い情報を収録。最新の情報の上に立って個別の対策を策定し、適時に実践することが求められている現場の獣医師にとって最適な内容となっている。公衆衛生に携わる獣医師はもちろん、すべての獣医師必読の時宜を捉えた一冊。

    目次

    第1章 [総論]獣医公衆衛生の現状と課題
    1.獣医公衆衛生の現状(田村 豊)
    1.食の安全と安心における獣医師の役割
    2.獣医疫学と応用
    3.人獣共通感染症
    4.ヒトと動物の共生
    5.環境衛生
    6.公衆衛生行政の現状
    2.獣医公衆衛生の課題(田村 豊)
    1.獣医公衆衛生教育の充実
    2.関連各部局との効果的連携
    3.危機管理対応


    第2章 食の安全・安心における獣医師の役割
    01 食の安全と安心(唐木英明)
    1.食品の安全と安心とは
    2.食品の安全の実態
    3.食に対する不安
    4.不安の人間的要因
    5.不安の社会的要因
    6.報道の役割
    7.多くの誤解

    02 Salmonella Enteritidis 食中毒の現状と対策(中村政幸)
    1.食中毒の発生状況
    2.サルモネラ食中毒の発生要因
    3.SEによる鶏卵汚染
    (1)わが国の養鶏システムとSE汚染卵の産出
    (2)わが国および米英におけるSE食中毒の発生
    (3)SE汚染鶏の世界的分布とわが国におけるSE食中毒との関係
    (4)わが国におけるSE汚染輸入ヒナの検疫
    4.養鶏場のSE汚染
    5.わが国におけるSE汚染卵対策とその効果
    (1)対策
    (2)効果
    6.今後の問題点

    03 食用動物由来耐性菌の現状と対策(浅井鉄夫)
    1.食用動物由来耐性菌の現状
    (1)海外の取り組み
    (2)国内の取り組み
    2.薬剤耐性菌のモニタリング
    (1)抗菌性物質の使用と耐性発現
    (2)抗菌剤に依存しない耐性菌の分布
    3.薬剤耐性菌の対策
    (1)動物用抗菌剤の慎重使用
    (2)法的規制
    (3)承認の取り消し
    (4)適正な食品流通

    04 動物用医薬品の食品残留とポジティブリスト制度(小久江栄一)
    1.ポジティブリスト制度の規制基準はMRL(最大残留限界濃度)
    (1)一日摂取許容量(ADI)とMRL
    (2)国際基準・暫定基準・一律基準
    (3)対象外物質と不検出物質
    2.動物用医薬品の使用基準
    (1)使用基準の作成
    (2)使用禁止期間、休薬期間、出荷制限期間
    3.獣医師の対応
    (1)動物用医薬品の適正使用
    (2)要指示医薬品制度・要診察医薬品制度・使用規制制度の遵守
    (3)「動物用医薬品指示書」と「出荷制限期間指示書」
    (4)書類の保管:動物用医薬品指示書/出荷制限期間指示書/診療記録
    (5)生産者に対する指導
    4.ポジティブリスト制度の効用と問題点
    (1)制度の効用
    (2)問題点

    05 日本における牛海綿状脳症(BSE)のリスク評価(吉川泰弘)
    1.リスク分析とリスク評価
    2.日本のBSE対策と疫学
    (1)日本のBSE対策,vCJD対策
    (2)日本のBSE疫学
    3.食品安全委員会のリスク評価
    (1)中間とりまとめ(2004年9月)
    (2)国内対策の見直し(2005年5月)
    (3)アメリカ・カナダの輸入肉等のリスク評価(2005年12月)
    4.わが国のBSE対策の有効性評価と展望
    5.潜伏期の長い感染症のリスク評価とリスク管理


    第3章 獣医疫学と応用
    01 獣医疫学(Veterinary Epidemiology)の重要性(山本茂貴)
    1.獣医疫学の目的
    2.疫学と獣医疫学の類似点と相違点
    (1)産業動物の場合
    (2)伴侶動物の場合
    (3)野生動物の場合
    (4)公衆衛生分野の場合
    3.獣医学における疫学の役割
    4.疫学教育
    5.疫学研究の概要

    02 リスク評価と行政への応用(筒井俊之)
    1.現状
    2.課題
    (1)リスク評価に必要な基礎データの蓄積
    (2)リスク評価の専門家の育成
    (3)リスク評価に対する正しい認識の普及
    (4)リスク評価は新しい分野


    第4章 人獣共通感染症
    01 動物由来感染症にどう対処するか(山田章雄)
    1.動物由来感染症の定義と分類
    2.動物由来感染症の病原体
    3.動物由来感染症の問題点
    (1)ペットからコンパニオンアニマルへ
    (2)動物由来食品
    (3)新興感染症
    4.動物由来感染症にどう対処するか

    02 狂犬病の現状と対策(源 宣之)
    1.狂犬病の特徴
    2.発生現状
    3.わが国における狂犬病発生
    4.予防対策

    03 炭疽とバイオテロ(牧野壮一、川本恵子)
    1.炭疽
    (1)病原体の特徴
    (2)症状
    (3)発症機構
    (4)治療法と予防法
    (5)検査法
    (6)感染サイクル
    2.生物兵器としての炭疽菌
    (1)生物兵器(Biological weapon)
    (2)国内外における生物兵器の歴史
    (3)炭疽菌の生物兵器としての特徴
    3.現状と対策

    04 Q熱の現状と対策(村松康和)
    1.Q熱の病原体
    2.Q熱に関する現在の状況
    (1)動物コクシエラ症
    (2)ヒトQ熱
    3.対策
    (1)診断と治療
    (2)予防


    第5章 人と動物の共生
    01 学校飼育動物の現状(中川美穂子)
    1.わが国の学校の動物飼育教育
    (1)始まりと経過
    (2)社団法人 日本獣医師会の学校飼育動物の定義?
    2.学校・園での動物飼育
    (1)飼育率
    (2)動物の種類と飼育数
    (3)飼育形態
    (4)学校での動物飼育の意義
    3.学校での動物飼育の課題
    (1)教育委員会と学校が考える課題
    (2)獣医師からみた課題
    4.獣医師の対策の方向
    (1)学校に「児童によい影響を与える条件」を伝える
    (2)獣医師会の支援体制
    (3)学校の重要な課題に対する具体的な対応
    (4)他機関との連携

    02 動物介在活動(AAA)、動物介在療法(AAT)、動物介在教育(AAE)の現状と将来展望(内田佳子)
    1.AAA、AAT、AAEとIAHAIOの4つの宣言
    2.公衆衛生学的側面における現状と課題
    (1)人獣共通感染症の予防
    (2)動物による種々の事故を防ぎ、望ましい行動をとる動物の選択
    (3)環境、衛生対策
    3.活用動物のウェルフェアの保護
    (1)犬の選択とウェルフェア
    (2)活用のために必要な訓練におけるウェルフェア
    (3)活用時のウェルフェア
    (4)日常の飼養管理とウェルフェア


    第6章 環境衛生
    01 野生動物にみられる環境汚染の影響(寺岡宏樹、久保田彰)
    1.鳥類の鉛中毒
    (1)鳥類における鉛中毒の特徴
    (2)水鳥
    (3)猛禽類
    (4)タンチョウ
    2.鳥類および哺乳類における水銀汚染
    (1)自然界における水銀の循環
    (2)哺乳類における水銀汚染
    (3)鳥類における水銀汚染
    3.有機塩素化合物による環境汚染問題
    (1)強毒性ダイオキシン類による野生動物の汚染の現状
    (2)ダイオキシン類の排出量と野生動物の汚染の経年推移
    (3)影響調査の現状

    02 動物用医薬品の環境影響評価の現状(遠藤裕子)
    1.日本における環境保全と環境生物への被害防止に着目した環境影響評価の動向
    2.ヒト用医薬品・VMPの環境中の存在と環境への影響の可能性
    3.医薬品を含む化学物質のEIA
    (1)化学物質のEIAの一般的手法?
    (2)ヒト用医薬品およびVMPのEIAガイドライン
    4.VMPのEIAガイドライン(VICH-EIAガイドライン)の概要
    (1)VMPのEIAの必要性
    (2)VMPのEIAの特徴
    (3)VICH-EIAガイドラインの考え方
    (4)VICH-EIAガイドラインの全体像
    (5)VICH-EIAガイドライン第?相
    (6)VICH-EIAガイドライン第?相
    (7)獣医師に望まれていること

    03 内分泌撹乱物質とホルモン様活性評価法の現状(鈴木定彦、中島千絵、足立伸一)
    1.内分泌撹乱物質として作用する可能性のある物質とそのホルモン作用
    2.環境中の内分泌撹乱物質
    (1)生活用品
    (2)環境水
    (3)大気
    (4)土壌
    3.内分泌撹乱物質の生体影響
    (1)野生生物に対する影響
    (2)人体への影響
    4.ホルモン様活性評価法
    (1)in vivo 試験法
    (2)in vitro 試験法
    5.内分泌撹乱物質の影響評価


    第7章 公衆衛生行政の現状
    01 食品衛生関連法規(熊谷優子)
    1.食の安全のための法体系
    2.食品衛生行政の枠組み
    (1)厚生労働省
    (2)地方公共団体
    3.食品安全確保施策と食品衛生法
    (1)食品等に対する規制
    (2)食品等の監視指導
    (3)輸入食品の安全確保について
    (4)食肉・食鳥肉の安全確保について
    (5)虚偽・誇大広告への対応について
    (6)罰則規定

    02 感染症関連法規(梅田浩史)
    1.動物由来感染症(人獣共通感染症)
    2.動物由来感染症対策の現状
    (1)獣医師の責務
    (2)発生時の疫学調査と蔓延防止
    (3)輸入動物に対する規制
    3.狂犬病の現状と対策
    (1)狂犬病の脅威と国民の認識
    (2)狂犬病対策の現状と課題
    4.鳥インフルエンザ(H5N1)の脅威と対策
    5.蚊媒介性感染症の流行拡大と対策の現状
    6.病原体等の適正管理


    付録
    1.本書関連の法律
    2.本書関連の団体・研究会
    3.本書関連の行政機関
    4.本書関連の国際機関

    索引

    監修:田村 豊
    A4判 176頁
    ISBN978-4-88500-427-8
    2009年2月発行
    定価:本体4,500円(税別)


    直面する課題の現状と対策

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